魅惑の航空王は最愛の元妻を取り戻したい
 眉を下げて苦笑する妃さんは、親子を責めるどころか自分が反省している。絶対いい人だ、とすぐに直感していると、彼女はこちらをじっと見てくる。

 真正面からしっかり見ても本当に綺麗な顔だ。長めの前髪をセンターで分けた柔らかなショートボブは、制帽を被っている時よりは女性らしさを感じるけれど、それでもやっぱりカッコいい。

「あの……もしかして、羽澄キャプテンの奥様、ですか?」

 うっかり見惚れていた私は、そう問いかけられてはっとした。なんでわかったの!?

 びっくりしつつ今さらながら姿勢を正して、数あるパーティーのおかげで慣れてきた妻としての挨拶をする。

「は、はい。妻の芽衣子です。主人がお世話になっています」
「やっぱり。さっき話しているのを見て、そうじゃないかと思ってました」

 ああ、見られていたのか……ってもしや、頭ぽんぽんされてニヤけているところも? だとしたら、いろんな意味で恥ずかしい。

 若干頬が火照りだすのを感じていると、妃さんも背筋を伸ばして自己紹介をしてくれる。

「私は日本アビエーションの妃です。副操縦士をしてまして、羽澄キャプテンにも時々指導していただいてるんです」

 やっぱり誠一さんとも関わりがあるらしい。なんとなく胸がざわめくのを感じつつも、たいして気にせず正直に言う。

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