『異質のススメ』他人と違っているから個性、変わっているから貴重。
 それでも探すのを諦めたわけではなかった。
 なんかあるはずなのだ、
 自分が求めている小説が。
 だから小説が平積みになっているところへ移動して色々な本を手に取ったが、やはり先程のコーナーと同じように推理小説やSFもの、いじめに関するものが多かった。
 それ以外にはパワハラを受けたサラリーマンが上司や会社にリベンジするものがあったが、それを買おうとは思わなかった。
 リベンジという言葉に嫌悪感を覚えたからだ。
 目には目を、歯には歯を、では何も解決しない。
 手にとってはみたものの読み進めることができなくなってすぐに棚に戻した。
 
 今回もこれだと思う小説に出会うことはなかった。
 小説との相性が良くないのか、探し方が悪いのか、どちらかわからないが、心を奪われるような運命の小説と出会うのはかなり難しいような気がした。
 だからか、自然と足はビジネス書のコーナーに向かった。

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