ヒュントヘン家の子犬姫~前世殿下の愛犬だった私ですが、なぜか今世で求愛されています~
第一章
その日は雨が降っていた。
雨に濡れたからだろうか。わたしの体は底冷えするように冷たくて、同時に、だんだん動かなくなっていくのを感じて。
寒いから、あたためてほしい。そう思うより少し前に、大好きなひとがわたしを掬い上げてくれた。
両腕にわたしのちいさな体を抱えて、彼は雨を降らす。あたたかい雫が、わたしに当たると急に氷みたいに冷たくなる。
変なの。眠くないのに、瞼が落ちていくのをとめられない。
彼の、ひなたぼっこしているときのような匂いに包まれているのに、どうしても鼻をつんとつくのは、甘いような、生臭いような、変なにおいだった。
この臭いは好きじゃない。「ご主人様」の匂いを嗅いでいたい。
雨に濡れたからだろうか。わたしの体は底冷えするように冷たくて、同時に、だんだん動かなくなっていくのを感じて。
寒いから、あたためてほしい。そう思うより少し前に、大好きなひとがわたしを掬い上げてくれた。
両腕にわたしのちいさな体を抱えて、彼は雨を降らす。あたたかい雫が、わたしに当たると急に氷みたいに冷たくなる。
変なの。眠くないのに、瞼が落ちていくのをとめられない。
彼の、ひなたぼっこしているときのような匂いに包まれているのに、どうしても鼻をつんとつくのは、甘いような、生臭いような、変なにおいだった。
この臭いは好きじゃない。「ご主人様」の匂いを嗅いでいたい。
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