ヒュントヘン家の子犬姫~前世殿下の愛犬だった私ですが、なぜか今世で求愛されています~

 からかうようなヴィルヘルムの言葉に、シャルロットが反応する。だからアルブレヒトは、押し黙って、そしてはあとため息をついた。

「アルブレヒト、婚約者がそんな狭量なことでどうします。ほら、ご両親のところまでエスコートなさい」
「……わかりました」

 母王妃はこんな人だっただろうか。もっと鬱々としていた母しか知らないために、アルブレヒトは最近母に会うたび面食らう。

「シャロ、手を」
「はい、アルブレヒトさま」

 ──けれど、これもシャルロットの力だ。シャルロットは、アルブレヒトの世界を二度も一変させた。
 シャルロットは、アルブレヒトの力になれないと悩んでいたけれど──本当は、アルブレヒトこそ、シャルロットの力になりたかったのだと言えば、シャルロットはどんな顔をするだろう。

 マルティナとの一件後、シャルロットは強くなった。
 それは、もとからシャルロットが持っていたものだ。発露しただけで、こんなにシャルロットはきらめく。

< 100 / 226 >

この作品をシェア

pagetop