悪妃になんて、ならなきゃよかった
 そこでヴィオラは、巨額の浪費を企てた。
といっても、それらを無駄にする気はなく。
離婚直後に王太子からという名目で、施療院に寄付する計画だった。


 そうして数日後。
宝石商を呼びつけて、換金しやすい金銀細工を大量に注文すると……

 さっそく翌日。
目を見張るほど大量のギフトボックスが、部屋に届けられた。

ーーうそ、こんなに早く?
それより、こんなにたくさん注文してない!

 するとそこに、サイフォスがやって来た。

ーーちょうどよかった。
この浪費ぶりを直接アピール出来る。
そう思ったところで。
なぜか注文してないドレスまで、次々と部屋に運ばれた。

 どういう事っ?と戸惑うヴィオラに、サイフォスが説明する。

「この前の謝罪の続きだ。
受け取ってくれ」

ーー謝罪の続き?
そこでヴィオラは、ブルーローズを差し出された時の事を巡らせて。
~「せめてもの謝罪だ、まずはこれを受け取ってくれ」~
その言葉を思い出す。

ーーまずはって、続きがあるって事だったのねっ?
だからって、前回の二の舞になるって思わなかったの?

「王太子ともあろう方が、学習能力がないのてすね」
ヴィオラがそう詰ると。

 サイフォスは思った通りと言わんばかりに、ふっと笑った。

 その瞬間、ヴィオラの胸がドキリと跳ねる。
同じく、周りの侍女たちも。

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