悪妃になんて、ならなきゃよかった
冷酷な王太子の笑顔を、初めて目にしたからだ。
さらには、いつもの冷淡な表情とのギャップにやられたからだ。
そんな心情を知る由もなく、サイフォスは続けた。
「要らないなら断ってくれ。
ただしその場合、施療院に寄付するつもりだ。
そうなれば君は、寄付するために断った事になるが……
どうする?」
ーーやられた!
断れば、悪妃どころが良妃になってしまう。
つまりは、受け取るしかなくて……
学習能力がないどころか一枚上をいくサイフォスに、舌を巻くヴィオラ。
「寄付するくらいなら、受け取ります。
そんなくだらない事、虫唾が走るので」
せめてもの悪態をつくも。
サイフォスは「ありがとう」と零し、侍女たちに開封を指示した。
そして大量のギフトボックスから……
豪華すぎる装飾品や、目を疑うほどレアな宝石、ため息が出るほど美しい宝石細工などが、次々と露呈された。
それらはヴィオラが注文したものより、比べ物にならないほど高額で……
結果的に、浪費悪妃計画まで無効化されてしまったのだった。
「……ですが殿下。
馬鹿のひとつ覚えのように、ドレスは青ばかり。
宝石はサファイアばかりでは、さすがに芸がなさすぎでは?」
サファイアはヴィオラが大好きな宝石だったが……
計画を台無しにされたのが悔しくて、そう嘲った。
さらには、いつもの冷淡な表情とのギャップにやられたからだ。
そんな心情を知る由もなく、サイフォスは続けた。
「要らないなら断ってくれ。
ただしその場合、施療院に寄付するつもりだ。
そうなれば君は、寄付するために断った事になるが……
どうする?」
ーーやられた!
断れば、悪妃どころが良妃になってしまう。
つまりは、受け取るしかなくて……
学習能力がないどころか一枚上をいくサイフォスに、舌を巻くヴィオラ。
「寄付するくらいなら、受け取ります。
そんなくだらない事、虫唾が走るので」
せめてもの悪態をつくも。
サイフォスは「ありがとう」と零し、侍女たちに開封を指示した。
そして大量のギフトボックスから……
豪華すぎる装飾品や、目を疑うほどレアな宝石、ため息が出るほど美しい宝石細工などが、次々と露呈された。
それらはヴィオラが注文したものより、比べ物にならないほど高額で……
結果的に、浪費悪妃計画まで無効化されてしまったのだった。
「……ですが殿下。
馬鹿のひとつ覚えのように、ドレスは青ばかり。
宝石はサファイアばかりでは、さすがに芸がなさすぎでは?」
サファイアはヴィオラが大好きな宝石だったが……
計画を台無しにされたのが悔しくて、そう嘲った。