悪妃になんて、ならなきゃよかった
これにはさすがに、命令に従えなくなるウォルター卿。

「妃殿下!
今は公務中ですよっ?」

「それくらいわかっています。
ですが、剣術大会まで日がないので、準備に追われているんです。
殿下が勝手に企画して、無理矢理私を巻き込んだのですから。
そちらが私に合わせるべきでは?」

 それはもっともな言い分だったが……
当然、公務を犠牲にしていい理由になるはずもなく。
それでもサイフォスは……
喜ばせるつもりが、逆に負担をかけてしまったと、申し訳なく感じていた。

「……もちろんだ。
だが俺は、ドレスには疎いが……
それでもいいか?」

「構いません」

 と答えながらも……
持ってきたドレスに、サイフォスからプレゼントされた青のドレスは一着もなく。
その事にサイフォスは、ますます自身のセンスを不安に思っていた。

 そんな中。
ヴィオラはそれぞれのドレスに意見を求めながら、数着に絞ってもらい。
それらを奥の部屋で試着して、さんざん悩んだ挙句。
長時間かけて、ようやく決定に至ったのだった。



< 27 / 44 >

この作品をシェア

pagetop