悪妃になんて、ならなきゃよかった

剣術大会4

 そして余興が始まると……
心配を覆すサイフォスの腕前に、ヴィオラは目を疑った。

ーー嘘でしょ?
あの男はラピズと同じ実力なのに……
どうして王族の殿下が、互角にやり合ってるのっ?

 そう驚くのは、無理もなかった。
騎士だったラピズのように、その鍛錬のみに明け暮れる事が出来るならともかく。
公務で忙しいサイフォスは、その合間にしか鍛練出来ないからだ。

 いくらいい師やいい鍛練方法の下で学ぼうとも、やはり日々の鍛練の積み重ねが物を言い。
前者ならサイフォスに分があるが、後者なら逆なのは言うまでもなかったのだ。

 その上で重要なのは、天性の才能や実戦経験の多さだが……
才能はどちらも持ち合わせていないものの。
実戦数は、その相手に恵まれたサイフォスの方が有利だった。
もちろんそれらは、ラピズと比較した場合だが……

< 39 / 44 >

この作品をシェア

pagetop