一度は諦めた恋なのに、エリート警視とお見合いで再会!?~最愛妻になるなんて想定外です~
パリで過ごした時の方が、何も考えずに自然に過ごせていた気がする。
以前のように自然に振舞えないのは、彼が彩乃のことをどう思っているかが、分からないからというのが大きい気がする。
彩乃がお見合い結婚に抵抗なく、婚約、同居とスピード感を持って決まっていく現実を受け止めているのは、元々蒼士への気持ちがあるからだ。
でも彼は彩乃に対して特別な思い入れはない。
彩乃との結婚に迷わなかったのは、警察庁次官の娘だからで、ふたりの熱量はまるで違う。
だから、とても気を遣ってしまう。
彼に失望されたくない。そしていつか、ひとりの女性として好きになって貰えたら。
(はあ......でも、なかなかうまくいかないな)
気が利いた言葉ひとつ言えない自分に、がっかりしてしまう。
そんな彩乃と違い、蒼士の方は何の気負いもなくコーヒーカップを手に、窓の外を眺めている。
スタイルがよく端整な顔立ちの彼がそうしていると、まるでドラマの一コマのように、際立って美しい。
(蒼士さんってやっぱりカッコいいな......)
法律事務所に就職して、この三年で多くの人との出会いがあったけれど、彼程素敵な人に出会ったことは一度もない。
なによりも困っている人を放っておけない面倒見のよさと責任感。そして落ち込んでいたときに寄り添ってくれた優しさにどれだけ助けられたか......。
そんな男性が自分と結婚してくれるなんて、婚約までしたというのに、未だに夢を見ているのかと錯覚するような瞬間がある。
じっと見つめていると、視線を感じたのか蒼士が彩乃に視線を向けた。
「どうした?」
美しい双眸で見つめられ、気恥ずかしくなる。
「えっと、ちょっと蒼士さんに見惚れてました」
「何言ってるんだよ」
冗談で言っていると思ったのか、蒼士がふっと笑う。
(本心なのに)
「そうだ。これからは彩乃と呼んでもいいか?」
「え? ......あ、もちろん大丈夫です」
「もう俺の奥さんだからな」
「あ......そうですよね」
彩乃の心臓がドクンと跳ねる。
改めて彼の妻になったのだと実感する。呼び方ひとつ変わっただけなのに彼との距離がぐっと近づいた気がした。
「彩乃も蒼士と呼んでいいからな」
「ありがとうございます。でも私は蒼士さんの方が呼びやすくて」
以前のように自然に振舞えないのは、彼が彩乃のことをどう思っているかが、分からないからというのが大きい気がする。
彩乃がお見合い結婚に抵抗なく、婚約、同居とスピード感を持って決まっていく現実を受け止めているのは、元々蒼士への気持ちがあるからだ。
でも彼は彩乃に対して特別な思い入れはない。
彩乃との結婚に迷わなかったのは、警察庁次官の娘だからで、ふたりの熱量はまるで違う。
だから、とても気を遣ってしまう。
彼に失望されたくない。そしていつか、ひとりの女性として好きになって貰えたら。
(はあ......でも、なかなかうまくいかないな)
気が利いた言葉ひとつ言えない自分に、がっかりしてしまう。
そんな彩乃と違い、蒼士の方は何の気負いもなくコーヒーカップを手に、窓の外を眺めている。
スタイルがよく端整な顔立ちの彼がそうしていると、まるでドラマの一コマのように、際立って美しい。
(蒼士さんってやっぱりカッコいいな......)
法律事務所に就職して、この三年で多くの人との出会いがあったけれど、彼程素敵な人に出会ったことは一度もない。
なによりも困っている人を放っておけない面倒見のよさと責任感。そして落ち込んでいたときに寄り添ってくれた優しさにどれだけ助けられたか......。
そんな男性が自分と結婚してくれるなんて、婚約までしたというのに、未だに夢を見ているのかと錯覚するような瞬間がある。
じっと見つめていると、視線を感じたのか蒼士が彩乃に視線を向けた。
「どうした?」
美しい双眸で見つめられ、気恥ずかしくなる。
「えっと、ちょっと蒼士さんに見惚れてました」
「何言ってるんだよ」
冗談で言っていると思ったのか、蒼士がふっと笑う。
(本心なのに)
「そうだ。これからは彩乃と呼んでもいいか?」
「え? ......あ、もちろん大丈夫です」
「もう俺の奥さんだからな」
「あ......そうですよね」
彩乃の心臓がドクンと跳ねる。
改めて彼の妻になったのだと実感する。呼び方ひとつ変わっただけなのに彼との距離がぐっと近づいた気がした。
「彩乃も蒼士と呼んでいいからな」
「ありがとうございます。でも私は蒼士さんの方が呼びやすくて」