一度は諦めた恋なのに、エリート警視とお見合いで再会!?~最愛妻になるなんて想定外です~
「まあ七歳も年上だからな。分かった、彩乃の好きに呼んでくれ。でも敬語は無くすようにしてくれよ。俺たちは夫婦で対等なんだからな」
蒼士の眼差しは柔らかくて、彼が彩乃に歩み寄ってくれようとしている想いを感じるものだ。
「少しずつ慣れて行くようにしますね」
「慣れるようにするね、がいいかな」
「あ、はい。慣れるようにするね」
蒼士が満足したように、微笑んだ。
「お待たせいたしました」
スタッフがやって来て、湯気を立てる出来立てのリゾットをそれぞれの前に置いた。
「いただきます......美味しい!」
無難に決めたトマトとチーズのリゾットだが、期待していたよりもずっと美味だ。
「このカフェいいですね。家から近いしお気に入りになりそう」
早速好みのカフェを見付けて嬉しくなる。
「確かに見栄えも味もかなりのものだな。初めて入ったが、これからは時々来るのもいいかもしれない」
「蒼士さんも初めてなんですか?」
「自宅の近くで外食するとしてもカフェは選ばないからな。大抵職場の近くで済ますか、適当にテイクアウトしている」
「自炊はしないって言ってましたものね。調理器具も全然揃(そろ)ってなかったし」
だから彩乃は基本的な調理器具を一から揃え、引っ越しをしてすぐに調理が可能なように事前にキッチンに仕舞っておいた。
「ああ。だから彩乃の手料理が楽しみだ」
蒼士の言葉に、彩乃は張り切って頷いた。
実家には通いの家事使用人が居たから、彩乃がキッチンに建つ機会は滅多になかった。
母の勧めで料理教室に通ったことはあるけれど、実践が足りていない。
だから自信があるとは言えないけれど、蒼士の為に頑張って美味しいと思って貰える料理が作りたい。
「頑張りますね。でもまだ蒼士さんの好みが分からないから、何が好きか教えてください」
「そうだな......このリゾットは好みの味だ」
蒼士が頼んだのは牛すじ肉のリゾットだ。
「味見してみるか?」
「はい、是非」
そう答えると、蒼士が彩乃のスプーンを手に取り、牛すじリゾットをひと匙掬う。
そのまま彩乃の口の前に差し出した。
「あーん」と言われた気がして、つい口を開けてしまう。
蒼士が僅かに目を見開く。
(うそ、私の勘違いだった? そうだよね、彼がそんなことするわけない)
しまったと思ったけれど、彼はクスクスしながら彩乃の口にスプーンを運ぶ。
(ほ、本当に蒼士さんに食べさせて貰っちゃった)
ドキドキして味を覚えるのを忘れてしまった。それを見越したのか、蒼士が「もう一口な」とお代わりをくれる。
(ものすごく、気を遣わせちゃってる)
テーブルの横を通り過ぎたスタッフが、ちらりとこちらを見た気がした。
(うう、恥ずかしい......)
頭の中ではプチパニック中だ。でもそれ以上に嬉しくて、素直に口を開いてしまう。
同居して初めてのランチは、ドキドキし過ぎて心臓に悪いものになったのだった。
蒼士の眼差しは柔らかくて、彼が彩乃に歩み寄ってくれようとしている想いを感じるものだ。
「少しずつ慣れて行くようにしますね」
「慣れるようにするね、がいいかな」
「あ、はい。慣れるようにするね」
蒼士が満足したように、微笑んだ。
「お待たせいたしました」
スタッフがやって来て、湯気を立てる出来立てのリゾットをそれぞれの前に置いた。
「いただきます......美味しい!」
無難に決めたトマトとチーズのリゾットだが、期待していたよりもずっと美味だ。
「このカフェいいですね。家から近いしお気に入りになりそう」
早速好みのカフェを見付けて嬉しくなる。
「確かに見栄えも味もかなりのものだな。初めて入ったが、これからは時々来るのもいいかもしれない」
「蒼士さんも初めてなんですか?」
「自宅の近くで外食するとしてもカフェは選ばないからな。大抵職場の近くで済ますか、適当にテイクアウトしている」
「自炊はしないって言ってましたものね。調理器具も全然揃(そろ)ってなかったし」
だから彩乃は基本的な調理器具を一から揃え、引っ越しをしてすぐに調理が可能なように事前にキッチンに仕舞っておいた。
「ああ。だから彩乃の手料理が楽しみだ」
蒼士の言葉に、彩乃は張り切って頷いた。
実家には通いの家事使用人が居たから、彩乃がキッチンに建つ機会は滅多になかった。
母の勧めで料理教室に通ったことはあるけれど、実践が足りていない。
だから自信があるとは言えないけれど、蒼士の為に頑張って美味しいと思って貰える料理が作りたい。
「頑張りますね。でもまだ蒼士さんの好みが分からないから、何が好きか教えてください」
「そうだな......このリゾットは好みの味だ」
蒼士が頼んだのは牛すじ肉のリゾットだ。
「味見してみるか?」
「はい、是非」
そう答えると、蒼士が彩乃のスプーンを手に取り、牛すじリゾットをひと匙掬う。
そのまま彩乃の口の前に差し出した。
「あーん」と言われた気がして、つい口を開けてしまう。
蒼士が僅かに目を見開く。
(うそ、私の勘違いだった? そうだよね、彼がそんなことするわけない)
しまったと思ったけれど、彼はクスクスしながら彩乃の口にスプーンを運ぶ。
(ほ、本当に蒼士さんに食べさせて貰っちゃった)
ドキドキして味を覚えるのを忘れてしまった。それを見越したのか、蒼士が「もう一口な」とお代わりをくれる。
(ものすごく、気を遣わせちゃってる)
テーブルの横を通り過ぎたスタッフが、ちらりとこちらを見た気がした。
(うう、恥ずかしい......)
頭の中ではプチパニック中だ。でもそれ以上に嬉しくて、素直に口を開いてしまう。
同居して初めてのランチは、ドキドキし過ぎて心臓に悪いものになったのだった。