一度は諦めた恋なのに、エリート警視とお見合いで再会!?~最愛妻になるなんて想定外です~
「気が合うな。俺もだ」
「まじっすか」
新藤はショックを受けたように目を見開くと、ますます深刻そうに眉間にしわを寄せる。
残念だがこういう時の勘はとくによく当たる。ふたりともそれを分かっているから、焦りを感じ、自然と足早になりながら議員会館を目指す。
辿り着いた内島事務所で待っていたのは、目当ての秘書ではなく、内島の公設秘書を名乗る男性だった。年齢は五十代半ば。シルバーフレームの眼鏡をかけており神経質そうな印象だ。
苛立ちを隠し切れない表情の男性は、蒼士と新藤に早口に告げる。
「奈良野ですが、本日休みを取っております」
「休み? 今日、訪問する約束をしていたんですが」
新藤がさっと顔色を変えて、男性に詰め寄る。男性は迷惑そうに顔を歪め、眼鏡のフレームをくいと上げる。
「では自宅を訪ねてはいかがでしょう? 警察なら住所はご存じでしょうから」
「奈良野さんの休みの理由は聞いていますか?」
不機嫌な男性に、蒼士が尋ねた。
「いいえ。無断欠勤なので。おかげでこっちはてんてこ舞いですよ」
「無断欠席?」
蒼士は新藤と目を合わせた。
「彼はこれまでも無断欠勤をするのですか?」
「まさか、そんなことをしたらクビですよ」
「分かりました。自宅を訪ねてみます。お手数をおかけしました」
蒼士の言葉に、男性はようやく解放されたとでも言うようにほっとした様子を見せた。
「いえ、では私はこれで」
男性が足早に去っていくのを見送ってから、蒼士は新藤と共に奈良野の自宅に急行した。
事前に調べている情報によると、奈良野は田端の賃貸マンションでひとり暮らしをしている。
「このタイミングで無断欠勤って、まずいですね」
「ああ」
(奈良野は自宅にもいないかもしれない)
新藤も蒼士と同じことを考えているのだろう。
そしてその予感は的中し、奈良野の自宅は空だった。
彼は忽然と姿を消してしまったのだった。
「まじっすか」
新藤はショックを受けたように目を見開くと、ますます深刻そうに眉間にしわを寄せる。
残念だがこういう時の勘はとくによく当たる。ふたりともそれを分かっているから、焦りを感じ、自然と足早になりながら議員会館を目指す。
辿り着いた内島事務所で待っていたのは、目当ての秘書ではなく、内島の公設秘書を名乗る男性だった。年齢は五十代半ば。シルバーフレームの眼鏡をかけており神経質そうな印象だ。
苛立ちを隠し切れない表情の男性は、蒼士と新藤に早口に告げる。
「奈良野ですが、本日休みを取っております」
「休み? 今日、訪問する約束をしていたんですが」
新藤がさっと顔色を変えて、男性に詰め寄る。男性は迷惑そうに顔を歪め、眼鏡のフレームをくいと上げる。
「では自宅を訪ねてはいかがでしょう? 警察なら住所はご存じでしょうから」
「奈良野さんの休みの理由は聞いていますか?」
不機嫌な男性に、蒼士が尋ねた。
「いいえ。無断欠勤なので。おかげでこっちはてんてこ舞いですよ」
「無断欠席?」
蒼士は新藤と目を合わせた。
「彼はこれまでも無断欠勤をするのですか?」
「まさか、そんなことをしたらクビですよ」
「分かりました。自宅を訪ねてみます。お手数をおかけしました」
蒼士の言葉に、男性はようやく解放されたとでも言うようにほっとした様子を見せた。
「いえ、では私はこれで」
男性が足早に去っていくのを見送ってから、蒼士は新藤と共に奈良野の自宅に急行した。
事前に調べている情報によると、奈良野は田端の賃貸マンションでひとり暮らしをしている。
「このタイミングで無断欠勤って、まずいですね」
「ああ」
(奈良野は自宅にもいないかもしれない)
新藤も蒼士と同じことを考えているのだろう。
そしてその予感は的中し、奈良野の自宅は空だった。
彼は忽然と姿を消してしまったのだった。