再会したエリート警視とお見合い最愛婚
 それでも、まだここに居たいという気持ちは伝わったはずだ。

 離れたくない。彼は押し倒されたくなかったらと言っていたけれど、構わないのだ。 だって彩乃は蒼士が好きだから。
 上手く伝えられないけれど、愛しさは募るばかり……この気持ちが伝わったらいいのに。

 そのとき蒼士が蒼士を強く抱きしめた。

「もう、止まれないぞ」

 蒼士が彩乃を軽々抱き上げ、彼の寝室に運ぶ。

 そっと降ろされたベッドからは、ほのかに彼の香がして彩乃は眩暈にも似た感覚に襲われる。

 気が付いたときには、深く唇をふさがれていた。

「んんっ......」

 何度も角度を変えて唇を重ねる。

 甘くて少し苦しくて、現実とは思えない陶酔感。キスに夢中になっているうちに、身に着けていた服が取り払われていて、素肌に彼
の大きな手の感覚を直に感じた。

 そっと撫でるように触れ、熱を持った唇がその後を追うように這う。

「あっ......ああ......」

 彩乃は初めての快感に翻弄されながらも、自分の体が熱く潤うのを感じていた。

「蒼士さん......」

「彩乃、力を抜くんだ」

「うん......」

「大丈夫だ」

 痛みに涙を流す彩乃を、蒼士は宥め優しく涙を拭いキスをする。

 体の中に彼が入ってくるときの痛みは、思わず声を上げるほどのものだったけれど、その後は何も考えられないくらい翻弄されたまま彩乃は眠りについたのだった。

 朝、目覚めると気まずそうな顔をした蒼士が彩乃を見つめていた。

「あ......蒼士さん」

「体は大丈夫か?」

 言われて身動きすると、おなかの奥がずくんと痛んだ。

 顔をしかめてしまったからか、蒼士が痛々しそうな目をして「ごめん」と頭を下げた。

(どうして謝るの?)

 彼の考えがわからず彩乃が戸惑うばかり。

 すぐに動けない彩乃の為に、飲み物を運んで来たり、食事を用意してくれたりと蒼士は優しかったけれど、どこかぎこちなさを感じるものだった。
 
 
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