一度は諦めた恋なのに、エリート警視とお見合いで再会!?~最愛妻になるなんて想定外です~
鯛のカルパッチョが届いたので夏美の分も取り分けて彼女の前に置こうとした。
すると夏美が難しそうな表情で口を開いた。
「ねえ、ふと思いついたんだけど、別居になったのって彩乃の身を守る為なんじゃない?」
「どういうこと?」
夏美の発言が突拍子もないことに感じる。
「彩乃の話を思い出していたんだけど、蒼士さんは急に別居を言いだしたんでしょ? それなのに彩乃のお父さんは怒りもしなかった......それは蒼士さんと一緒にいると危険な目に遭う可能性があるからなんじゃない? 同業のお父さんは事情を知ってるんだよ」
夏美は早口で言い終えると、自分の考えによほど自信があるのか、満足そうな表情になった。けれど彩乃は半信半疑だ。
「そうかなあ......ドラマでは見かけるシチュエーションだけど、現実にはないんじゃない?」
反応の鈍い彩乃に、夏美が不満そうに頬を膨らませる。
「どうして、ないって言い切れるの?」
「だってお父さんは蒼士さんと同じ警察官だけど、今まで危ないことなんて一度も無かったから」
「それは......たまたまなんじゃない? 警察官って言ったって扱う事件が違うのかもしれないし。彩乃だってお父さんと蒼士さんがどんな仕事しているのか分からないんだし、断定はできないじゃない」
「そうかもしれないけど......」
夏美の発想には現実味がない気がした。
それなのに、もしかしたらと考えてしまうのは、彼女の言う通りだったら、蒼士は彩乃の為に別居を選んだということになるから。
彩乃にとって都合がいい話になるのだ。
「もし蒼士さんが私の為を想ってくれているのなら嬉しいけど」
「影で彩乃を守ってくれているのかも。悪い方に考えるよりも前向きに思ってた方がいいよ」
「......そうだね」
彩乃が半分納得した様子を見て夏美はほっとしたように口角を上げる。
「彩乃は本当に蒼士さんが好きなんだね」
「えっ? ......うん」
咄嗟に誤魔化そうとしたけれど、彼への気持ちを否定したくなくて素直に頷いてしまった。
夏美が面白そうに笑う。
「こんな絶対に蒼士さんにばれないところでも嘘つけないの彩乃らしいし、愛を感じる」
「揶揄ってるでしょ?」
夏美が「まさか」と首を振る。
「パリで出会ったあとにお見合いで再会だもんね。運命だって思っても仕方ないって」
すると夏美が難しそうな表情で口を開いた。
「ねえ、ふと思いついたんだけど、別居になったのって彩乃の身を守る為なんじゃない?」
「どういうこと?」
夏美の発言が突拍子もないことに感じる。
「彩乃の話を思い出していたんだけど、蒼士さんは急に別居を言いだしたんでしょ? それなのに彩乃のお父さんは怒りもしなかった......それは蒼士さんと一緒にいると危険な目に遭う可能性があるからなんじゃない? 同業のお父さんは事情を知ってるんだよ」
夏美は早口で言い終えると、自分の考えによほど自信があるのか、満足そうな表情になった。けれど彩乃は半信半疑だ。
「そうかなあ......ドラマでは見かけるシチュエーションだけど、現実にはないんじゃない?」
反応の鈍い彩乃に、夏美が不満そうに頬を膨らませる。
「どうして、ないって言い切れるの?」
「だってお父さんは蒼士さんと同じ警察官だけど、今まで危ないことなんて一度も無かったから」
「それは......たまたまなんじゃない? 警察官って言ったって扱う事件が違うのかもしれないし。彩乃だってお父さんと蒼士さんがどんな仕事しているのか分からないんだし、断定はできないじゃない」
「そうかもしれないけど......」
夏美の発想には現実味がない気がした。
それなのに、もしかしたらと考えてしまうのは、彼女の言う通りだったら、蒼士は彩乃の為に別居を選んだということになるから。
彩乃にとって都合がいい話になるのだ。
「もし蒼士さんが私の為を想ってくれているのなら嬉しいけど」
「影で彩乃を守ってくれているのかも。悪い方に考えるよりも前向きに思ってた方がいいよ」
「......そうだね」
彩乃が半分納得した様子を見て夏美はほっとしたように口角を上げる。
「彩乃は本当に蒼士さんが好きなんだね」
「えっ? ......うん」
咄嗟に誤魔化そうとしたけれど、彼への気持ちを否定したくなくて素直に頷いてしまった。
夏美が面白そうに笑う。
「こんな絶対に蒼士さんにばれないところでも嘘つけないの彩乃らしいし、愛を感じる」
「揶揄ってるでしょ?」
夏美が「まさか」と首を振る。
「パリで出会ったあとにお見合いで再会だもんね。運命だって思っても仕方ないって」