一度は諦めた恋なのに、エリート警視とお見合いで再会!?~最愛妻になるなんて想定外です~
蒼士に連れられて、オペラ座の近くのレストランに移動した。
レトロな店構えで、それなりに高級そうだ。予約がなくて大丈夫かと思ったが、スムーズに街並みを見下ろせる二階の窓際の席に案内された。メニューはフランス語で英訳はないので、蒼士に注文をお願いした。
「お疲れさま」
届けられたワインで乾杯する。
「滝川さんのパリ滞在を祝って」
「ありがとうございます」
あまり酒類は得意ではないが、軽い飲み口でするりと喉を通っていった。
料理はどれも絶品で彼がお勧めしてくれただけある。
ずっと食欲がなかったけれど、残さずに食べられた。
(北条さんとの会話が楽しいからかな)
女子高育ちで大学も系列の女子大に進んだ彩乃は、恋人どころか男友達と言える存在すらいない。同じ環境で育った友人たちは他校のサークルに参加するなど、学校以外のコミュニティに所属し恋人を作っていたが、彩乃にはなかなかそういった機会が
なかった。
友人の紹介で飲み会に参加しても、初対面の相手と意気投合するのが難しくてあまり盛り上がらなかったのだ。
けれど蒼士とは馬が合うのか、それとも彼が彩乃に合わせてくれているのか、自然に話せて居心地がいい。
「北条さんと出会えて本当によかったです。いろいろ助けて下さりありがとうございます」
困っていた状況を助けて貰っただけでなく、明るい気持ちになれた。
御礼の気持ちを伝えると、蒼士は複雑そうな表情を浮かべる。
「そこまで感謝されるようなことはしてない。さっきも言っただろ? スリに気付いたのも職業柄だ」
彼の言葉に彩乃は納得して頷いた。
旅行中にトラブルに遭った日本人が大使館に駆け込むことは、ままあると言う。彼はそんな人を何人も見て来たのだろう。
「でも、それでも私はとっても感謝しています。ひとりになりたくて日本を飛び出したけれど、心細さもあったので」
彩乃の言葉に蒼士が不思議そうに片方の眉を上げる。
「そう言えばさっきも勢いでパリに来たと言ってたな。滝川さんは衝動的なタイプには見えないから意外だと思ったんだ」
「見た感じで分かるんですか?」
「だいたいは。これまで沢山の人を見て来たからな」
「すごい......それじゃあ、私はどう見えましたか?」
レトロな店構えで、それなりに高級そうだ。予約がなくて大丈夫かと思ったが、スムーズに街並みを見下ろせる二階の窓際の席に案内された。メニューはフランス語で英訳はないので、蒼士に注文をお願いした。
「お疲れさま」
届けられたワインで乾杯する。
「滝川さんのパリ滞在を祝って」
「ありがとうございます」
あまり酒類は得意ではないが、軽い飲み口でするりと喉を通っていった。
料理はどれも絶品で彼がお勧めしてくれただけある。
ずっと食欲がなかったけれど、残さずに食べられた。
(北条さんとの会話が楽しいからかな)
女子高育ちで大学も系列の女子大に進んだ彩乃は、恋人どころか男友達と言える存在すらいない。同じ環境で育った友人たちは他校のサークルに参加するなど、学校以外のコミュニティに所属し恋人を作っていたが、彩乃にはなかなかそういった機会が
なかった。
友人の紹介で飲み会に参加しても、初対面の相手と意気投合するのが難しくてあまり盛り上がらなかったのだ。
けれど蒼士とは馬が合うのか、それとも彼が彩乃に合わせてくれているのか、自然に話せて居心地がいい。
「北条さんと出会えて本当によかったです。いろいろ助けて下さりありがとうございます」
困っていた状況を助けて貰っただけでなく、明るい気持ちになれた。
御礼の気持ちを伝えると、蒼士は複雑そうな表情を浮かべる。
「そこまで感謝されるようなことはしてない。さっきも言っただろ? スリに気付いたのも職業柄だ」
彼の言葉に彩乃は納得して頷いた。
旅行中にトラブルに遭った日本人が大使館に駆け込むことは、ままあると言う。彼はそんな人を何人も見て来たのだろう。
「でも、それでも私はとっても感謝しています。ひとりになりたくて日本を飛び出したけれど、心細さもあったので」
彩乃の言葉に蒼士が不思議そうに片方の眉を上げる。
「そう言えばさっきも勢いでパリに来たと言ってたな。滝川さんは衝動的なタイプには見えないから意外だと思ったんだ」
「見た感じで分かるんですか?」
「だいたいは。これまで沢山の人を見て来たからな」
「すごい......それじゃあ、私はどう見えましたか?」