一度は諦めた恋なのに、エリート警視とお見合いで再会!?~最愛妻になるなんて想定外です~
危機 蒼士side
午後二時過ぎ。蒼士は滝川次長に呼ばれて永田町の日本料理店を訪れた。
「お待たせして申し訳ありません」
案内された個室には、滝川次長だけでなく、次長補佐を務める佐伯も同席していた。
長机の上座に滝川次長、机を挟み佐伯が着席している。蒼士は佐伯の隣に腰を下ろした。
「北条君、久しぶりです。相変わらずですね」
「......佐伯先輩もお変わりないようで」
蒼士と佐伯は出身大学と学部が同じで、入庁以前からの顔見知りだ。
独特な雰囲気を持ち、慣れるまでコミュニケーションをとるのが難しいが、頭脳体力共に優れた人物だ。
蒼士と違い問題を起こさずエリートコースを驀(ばく)進(しん)しており、将来は警視総監に上り詰めるだろうと言われている。
滝川次長が切り出した。
「北条君から報告を貰っていた通り、彩乃のあとをつけている人物が存在していたようだ。実家に戻ってから私が側にいるときも気配があったので、佐伯君に調査を頼み今から報告を受けるところだが、彩乃の件なので北条君も知っておくべきだと思って来て貰った」
「ありがとうございます」
蒼士は滝川次長に礼をすると、口を閉ざし佐伯の報告を待つ。
佐伯が静かに口を開いた。
「昨日、彩乃さんの跡をつけている人物を突き止め確認しました」
蒼士は目を瞠った。特定に至っていたとは。佐伯を急かしたい衝動を抑えて続きを待つ。
「次長と北条君が懸念されていた事件関係者ではなく、高校生の男子でした。事情を聞いたところ、つけていたと認めた為、保護者に連絡をしエスカレートした場合、逮捕も有り得ると説明しました」
「高校生?」
全く予想していなかった展開に、蒼士は思わず声を上げてしまった。
滝川次長も、唖然としている。
「彼は彩乃さんが勤務されている法律事務所の近くの飲食店でアルバイトをしており、食事に来た彩乃さんに一目惚れをして、跡をつけまわしていたようです」
「はあ......どうしてそんな子供が。その子から見たら彩乃は遥かに年上だろう」
滝川次長が深い溜息を吐く。
「大学生のアルバイトだと思っていたそうです」
「まあ......彩乃はどちらかと言うと童顔だからな」
蒼士は心の中で相槌を打った。たしかに彩乃は可愛い。
「保護者を巻き込んだことで反省したようです。しばらく様子を見る必要はあるでしょうが、エスカレートする可能性はかなり低いと思います」
「お待たせして申し訳ありません」
案内された個室には、滝川次長だけでなく、次長補佐を務める佐伯も同席していた。
長机の上座に滝川次長、机を挟み佐伯が着席している。蒼士は佐伯の隣に腰を下ろした。
「北条君、久しぶりです。相変わらずですね」
「......佐伯先輩もお変わりないようで」
蒼士と佐伯は出身大学と学部が同じで、入庁以前からの顔見知りだ。
独特な雰囲気を持ち、慣れるまでコミュニケーションをとるのが難しいが、頭脳体力共に優れた人物だ。
蒼士と違い問題を起こさずエリートコースを驀(ばく)進(しん)しており、将来は警視総監に上り詰めるだろうと言われている。
滝川次長が切り出した。
「北条君から報告を貰っていた通り、彩乃のあとをつけている人物が存在していたようだ。実家に戻ってから私が側にいるときも気配があったので、佐伯君に調査を頼み今から報告を受けるところだが、彩乃の件なので北条君も知っておくべきだと思って来て貰った」
「ありがとうございます」
蒼士は滝川次長に礼をすると、口を閉ざし佐伯の報告を待つ。
佐伯が静かに口を開いた。
「昨日、彩乃さんの跡をつけている人物を突き止め確認しました」
蒼士は目を瞠った。特定に至っていたとは。佐伯を急かしたい衝動を抑えて続きを待つ。
「次長と北条君が懸念されていた事件関係者ではなく、高校生の男子でした。事情を聞いたところ、つけていたと認めた為、保護者に連絡をしエスカレートした場合、逮捕も有り得ると説明しました」
「高校生?」
全く予想していなかった展開に、蒼士は思わず声を上げてしまった。
滝川次長も、唖然としている。
「彼は彩乃さんが勤務されている法律事務所の近くの飲食店でアルバイトをしており、食事に来た彩乃さんに一目惚れをして、跡をつけまわしていたようです」
「はあ......どうしてそんな子供が。その子から見たら彩乃は遥かに年上だろう」
滝川次長が深い溜息を吐く。
「大学生のアルバイトだと思っていたそうです」
「まあ......彩乃はどちらかと言うと童顔だからな」
蒼士は心の中で相槌を打った。たしかに彩乃は可愛い。
「保護者を巻き込んだことで反省したようです。しばらく様子を見る必要はあるでしょうが、エスカレートする可能性はかなり低いと思います」