一度は諦めた恋なのに、エリート警視とお見合いで再会!?~最愛妻になるなんて想定外です~
(多摩地区から移動するとしたら、彼の立場ならどこに向かう?)
渋滞に嵌って身動きが取れなくなるのは絶対に避けるはずだ。
(山梨方面に向かう道路は渋滞している。北上して埼玉に向かうか南下して神奈川に行くか......いや、彼がそんな無意味なことをするのか?)
尾行に気付いたということは、佐藤は自身が疑われていることを察しただろう。奈良野の件が罠だと気付いたのかもしれない。
ただそれならば、なぜ逃亡したのだろうか。
時間をかせいだところで逃げおおせることが出来ないと、佐藤自身がよく分かっているはずなのに。
蒼士は疑問を覚えながらも、新藤に捜索範囲の指示を入れる。
一息ついたところで時刻を確認すると、丁度七時三十分を指している。
蒼士は彩乃の携帯に電話をかける。日中佐伯の報告を聞いたせいか、無事を確認したかったのだ。
かなり長い間呼びだし音が鳴ってから、彩乃の声がした。
「......蒼士さん」
『今、話せるか?』
「は、はい」
『今はどこにいる?』
「あの......今は外なの。その......夏美と急に飲みに行くことになって」
『夏美さんと? しばらくは仕事以外の外出を控えると言ってなかったか?』
「あ、そうなんだけど、ストレスが溜まっちゃって」
蒼士は違和感を覚え、目を細めた。
彩乃の言葉とは思えなかったのだ。
『どこで飲んでるんだ?』
「場所は言いたくない......私だってたまには自由にしたっていいでしょ?」
また彼女らしくない発言。明らかにおかしい。
「なぜ彼女が蒼士に不自然な態度を取るのか。考えられる理由は一つしか思い浮かばない。
誰かに不本意な言葉を言わされている。もしくは、本当のことを言えないように監視されているか。
誰かに連れ去られている?
(どこにいるんだ?オフィスは出たと言っていた)
電話の向こうの様子に神経を注ぐのと同時に、画面に表情されている都内の道路マップに目を遣る。
(銀座から定時に帰宅したとして最大で一時間半。どこまで行ける?)
彼女は無防備な面があるが、だからと言って簡単に人について行く人ではない。警察庁次長の娘としての立場は自覚している。
そんな彼女がついて行くとしたら信頼出来る相手――。
渋滞に嵌って身動きが取れなくなるのは絶対に避けるはずだ。
(山梨方面に向かう道路は渋滞している。北上して埼玉に向かうか南下して神奈川に行くか......いや、彼がそんな無意味なことをするのか?)
尾行に気付いたということは、佐藤は自身が疑われていることを察しただろう。奈良野の件が罠だと気付いたのかもしれない。
ただそれならば、なぜ逃亡したのだろうか。
時間をかせいだところで逃げおおせることが出来ないと、佐藤自身がよく分かっているはずなのに。
蒼士は疑問を覚えながらも、新藤に捜索範囲の指示を入れる。
一息ついたところで時刻を確認すると、丁度七時三十分を指している。
蒼士は彩乃の携帯に電話をかける。日中佐伯の報告を聞いたせいか、無事を確認したかったのだ。
かなり長い間呼びだし音が鳴ってから、彩乃の声がした。
「......蒼士さん」
『今、話せるか?』
「は、はい」
『今はどこにいる?』
「あの......今は外なの。その......夏美と急に飲みに行くことになって」
『夏美さんと? しばらくは仕事以外の外出を控えると言ってなかったか?』
「あ、そうなんだけど、ストレスが溜まっちゃって」
蒼士は違和感を覚え、目を細めた。
彩乃の言葉とは思えなかったのだ。
『どこで飲んでるんだ?』
「場所は言いたくない......私だってたまには自由にしたっていいでしょ?」
また彼女らしくない発言。明らかにおかしい。
「なぜ彼女が蒼士に不自然な態度を取るのか。考えられる理由は一つしか思い浮かばない。
誰かに不本意な言葉を言わされている。もしくは、本当のことを言えないように監視されているか。
誰かに連れ去られている?
(どこにいるんだ?オフィスは出たと言っていた)
電話の向こうの様子に神経を注ぐのと同時に、画面に表情されている都内の道路マップに目を遣る。
(銀座から定時に帰宅したとして最大で一時間半。どこまで行ける?)
彼女は無防備な面があるが、だからと言って簡単に人について行く人ではない。警察庁次長の娘としての立場は自覚している。
そんな彼女がついて行くとしたら信頼出来る相手――。