一度は諦めた恋なのに、エリート警視とお見合いで再会!?~最愛妻になるなんて想定外です~
怖がっているところを見せたくないのに、体が震えて止まらない。
「融通が利かない正義感で、人を陥れて許されると思うのか?」
「職務に忠実なだけでしょう? 許されないのは正義感がないあなたなのに」
蒼士に対してのあまりの言い様に思わず言い返してしまうと、佐藤は顔を赤くして彩乃を睨みつけた。
「黙れ!」
憎悪に呑まれた佐藤が、彩乃に近付いて来る。
佐藤の手が彩乃に向かって伸びて来る。
捕まったら何をされるか分からない。恐怖に駆られて彩乃は本能に任せて逃げ出した。
(怖い! 蒼士さん!)
数メートルもしない内に肩を掴まれ、その場で激しく引き倒される。
「きゃあ!」
左半身を床に打ち付け、彩乃は無様に床に倒れたまま呻いた。
佐藤はろくに抵抗出来ない彩乃の姿が満足なのか、悦に入ったような目をしている。
彩乃を甚振るのを楽しむその様子にぞっとする。
(蒼士さん!)
恐怖にぎゅっと目を閉じたそのとき、激しい雨音も打ち消すような甲高い破壊音が耳を貫いた。
「北条!?」
驚愕に満ちた佐藤の叫び声に驚き目を開けると、蒼士が佐藤の動きを封じるように、掴みかかっているところだった。
「蒼士さん!」
彩乃は大きく目を見開いた。
(蒼士さんが来てくれた!)
体中に希望が広がるのを感じながら、体を起こす。
決して安心出来る状態ではないけれど、彼が目の前にいるだけで、恐怖が消えて固まっていた体が動きはじめた。
「くそ! 離せ!」
佐藤は必死で抵抗していたが、格闘では蒼士の方に遥かに分があるようだった。
蒼士は流れるような動きで佐藤を制圧すると、声高に叫んだ。
「佐藤! 逮捕監禁罪の疑いで緊急逮捕する!」
「ぐっ!」
佐藤は何か言おうとしたが、抑えつけられた肩が痛むのか、顔をしかめた。
真っ青な顔からは脂汗が滲んでいる。
蒼士は手錠を使って佐藤を室内の支柱に拘束すると、彩乃の元に駆けつけて両腕を掴み顔を覗き込む。
「彩乃、無事か?」
彼は彩乃の状態を見て激しく顔をしかめた。
「すぐに外す。少し痛むかもしれないが我慢してくれ」
蒼士が彩乃の腕を拘束するビニールテープを丁寧に外していくが、皮膚に張り付いたテープは簡単に外れない。
「痛くないか?」
「大丈夫」
先ほどまでの恐怖に比べたら、これくらいなんでもない。けれど蒼士は暗い声で言う。
「融通が利かない正義感で、人を陥れて許されると思うのか?」
「職務に忠実なだけでしょう? 許されないのは正義感がないあなたなのに」
蒼士に対してのあまりの言い様に思わず言い返してしまうと、佐藤は顔を赤くして彩乃を睨みつけた。
「黙れ!」
憎悪に呑まれた佐藤が、彩乃に近付いて来る。
佐藤の手が彩乃に向かって伸びて来る。
捕まったら何をされるか分からない。恐怖に駆られて彩乃は本能に任せて逃げ出した。
(怖い! 蒼士さん!)
数メートルもしない内に肩を掴まれ、その場で激しく引き倒される。
「きゃあ!」
左半身を床に打ち付け、彩乃は無様に床に倒れたまま呻いた。
佐藤はろくに抵抗出来ない彩乃の姿が満足なのか、悦に入ったような目をしている。
彩乃を甚振るのを楽しむその様子にぞっとする。
(蒼士さん!)
恐怖にぎゅっと目を閉じたそのとき、激しい雨音も打ち消すような甲高い破壊音が耳を貫いた。
「北条!?」
驚愕に満ちた佐藤の叫び声に驚き目を開けると、蒼士が佐藤の動きを封じるように、掴みかかっているところだった。
「蒼士さん!」
彩乃は大きく目を見開いた。
(蒼士さんが来てくれた!)
体中に希望が広がるのを感じながら、体を起こす。
決して安心出来る状態ではないけれど、彼が目の前にいるだけで、恐怖が消えて固まっていた体が動きはじめた。
「くそ! 離せ!」
佐藤は必死で抵抗していたが、格闘では蒼士の方に遥かに分があるようだった。
蒼士は流れるような動きで佐藤を制圧すると、声高に叫んだ。
「佐藤! 逮捕監禁罪の疑いで緊急逮捕する!」
「ぐっ!」
佐藤は何か言おうとしたが、抑えつけられた肩が痛むのか、顔をしかめた。
真っ青な顔からは脂汗が滲んでいる。
蒼士は手錠を使って佐藤を室内の支柱に拘束すると、彩乃の元に駆けつけて両腕を掴み顔を覗き込む。
「彩乃、無事か?」
彼は彩乃の状態を見て激しく顔をしかめた。
「すぐに外す。少し痛むかもしれないが我慢してくれ」
蒼士が彩乃の腕を拘束するビニールテープを丁寧に外していくが、皮膚に張り付いたテープは簡単に外れない。
「痛くないか?」
「大丈夫」
先ほどまでの恐怖に比べたら、これくらいなんでもない。けれど蒼士は暗い声で言う。