屋上にて、君へ
よつ高の中庭は、大抵いつも賑やかだ。
ダンス部がステップの練習をしてたり、黙々と読書に老け込むメガネ君や、ギャルっぽい子たちがたむろってたり
「あれー……今日まだ王子来てないみたい」
「千夏、もっと近くに行って探せばいいじゃん」
梨佳があたしの背中をふざけて押した。
あたしは自分が定めたボーダーラインから決して飛び出さないように必死にこらえた。
ここからちょうど向かい側の、南館から王子は出てくるハズ。
「いいの! こんくらいの距離からのがちょうどいいのよ……ふふふ」
「ちぃちゃん、目がマジです……」
シオたんは、今日初めて『王子ウォッチング』に参加する。王子が中庭に来る毎週火・木曜日、シオたんは美術部の集まりがあるのだ。
今日はたまたま顧問の先生が半休とって午前中に帰っちゃったらしくて中止になったらしい。
そもそも、この王子ウォッチングの歴史はまだ浅い。
始まりは、今月の始業式。
あたしが王子と出会った4月12日の昼休みだ。
ダンス部がステップの練習をしてたり、黙々と読書に老け込むメガネ君や、ギャルっぽい子たちがたむろってたり
「あれー……今日まだ王子来てないみたい」
「千夏、もっと近くに行って探せばいいじゃん」
梨佳があたしの背中をふざけて押した。
あたしは自分が定めたボーダーラインから決して飛び出さないように必死にこらえた。
ここからちょうど向かい側の、南館から王子は出てくるハズ。
「いいの! こんくらいの距離からのがちょうどいいのよ……ふふふ」
「ちぃちゃん、目がマジです……」
シオたんは、今日初めて『王子ウォッチング』に参加する。王子が中庭に来る毎週火・木曜日、シオたんは美術部の集まりがあるのだ。
今日はたまたま顧問の先生が半休とって午前中に帰っちゃったらしくて中止になったらしい。
そもそも、この王子ウォッチングの歴史はまだ浅い。
始まりは、今月の始業式。
あたしが王子と出会った4月12日の昼休みだ。