極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「キミがお願いすれば簡単じゃないか。これまでそうしてきただろう?」


 問いかけておきながら断定的で、癪に障る言い方だ。男性は畳みかけるように言い放った。

 (そんな……ひどい……!)

 どうして見ず知らずの人に、突然言いがかりをつけられなければならないのか。それも見当違いも甚だしい。
 悔しさが胸の奥から湧いてくる。変な物言いをされたため、香奈も黙ったままではいられなくなった。


 「父に買ってもらったわけじゃありません! これは……これは……っ」


 ついカチンときて言い返したはいいが、衝撃的すぎて声が震えて続かない。

 (どうしてそんなことを言われなきゃならないの)

 握った拳が震える。

 でも今ここで彼に事情を話しても仕方がない。憤りを飲み込み、いったん呼吸を整えて言いなおす。


 「とにかく、ひとりで探しますから放っておいてください」
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