極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 面白がってからかうのはやめてほしい。こっちは先ほどからずっと緊張し通しだというのに。


 「お見合い中は澄ましていたのに、いきなり態度を変えないでください」


 ふたりきりになった途端フランクになられても対応しきれない。


 「香奈の前だと自分をさらけ出せるんだよ。でも澄まし顔の俺も凛々しいだろう?」


 さらっと意味深なことを言われ、そのあとのジョーク交じりの言葉は耳を素通りする。

 (……私の前だけ?)

 自分は特別だと言われた気になり、頬が熱い。


 「聞いてる?」


 顔の前で手をひらひらされ我に返る。


 「は、はい。だけど、凛々しいって自分で言います?」


 海里はクスッと笑って続けた。
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