極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
チョコレートを受け取ってもらえなかったのは香奈にとってかなりショックだったが、海里にとっては柚葉以外のその他大勢のうちのひとりに過ぎないのかもしれない。
たくさんプレゼントされそうになったチョコレートのうちのひとつ。だから記憶にすら留めていないのだ。
だとすれば今さら苦い過去を掘り起こしたくはない。
「……なんでもないです」
首を傾げる海里にかまわず、香奈は強引にその話題を終わらせ、べつの話を振ろうと切り替える。
「今、海里さんはどんな仕事を手掛けてるんですか?」
当たり障りのない質問で、振られた過去から逃げた。
「それは企業秘密」
「ちょっとくらい聞かせてくれても」
いたずらっぽい顔をして唇に人差し指をあてる海里に不服を申し立てる。
「まぁ香奈になら、そうだな」