極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「深優が変なこと言ってからかうから」
指摘されたら耳まで熱くなってきた。
「全然変じゃないよ。だっておねえちゃん、あれ以来誰とも付き合ってないじゃない。それって忘れられなかったからでしょう?」
たしかに海里以外、好きになった男性はいない。でもそれは司書になる夢を追いかけていたからであり、夢を叶えてからは仕事に打ち込んできたから。恋愛をする時間的余裕がなかっただけ。
海里を好きだったのは高校生のときの話。今も好きなんてあり得ない。
そう全否定するのに、心の奥底でもうひとりの自分が深優の言う通りだと頷いて香奈を翻弄する。気持ちの収拾が全然つかない。
それもこれも、海里の言動が不可解すぎるから。心の移り変わりを認めることに臆病になる。
「そのうち真司くんと付き合うのかなって思ってたけど、そうでもないみたいだし」
「真司くんと!? 友達よ?」
想定外の発言を聞き、再び声が裏返った。今度は先ほどより大きな声になる。