極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 翌日、香奈はいつもより三十分早く出勤した。
 準備を進めてきた企画〝本の福袋〟が今日から開催されるため、昨日のうちに準備していたコーナーの最終確認をするためである。

 また開催してほしいというリクエストが多かった企画のため、たくさんの利用者が喜ぶ顔を思い描いて胸が弾む。テーマごとに分けた紙袋の中身を念のためもう一度確認して並べ、POPやレイアウトのチェックも欠かさない。


 「これで大丈夫かな」


 エントランスの真正面に設置したコーナーは視認性も抜群。遠目で確認し、館長の了承ももらえた。
 事前に告知してきたおかげか、開館と同時にコーナーに人が集まりはじめる。


 「この袋に入ってる作家さんは誰ですか?」
 「それは開けてからのお楽しみです」


 同年代の女性に尋ねられ、にっこり笑って返した。
 中身がわからない楽しさで、初めて読む作家との出会いに繋げるのがこの企画の目的。静かに過ごさなければならない開架コーナーとは違い、どれにしようか友人同士や家族でワイワイ選べるのもいい。


 (よかった、喜んでもらえてるみたい)
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