極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
ストローを挿し、氷の涼しげな音を立てて口をつける。冷たさが喉から胸に下りていくのを感じながら、彼女の言葉を待った。
微妙な間が空き、なんともいえず居心地が悪い。
手持無沙汰にストローで氷をかき混ぜ、手元に視線を落としていた柚葉が香奈を見る。
「結婚するんですってね」
やはりその話だった。
香奈がこの図書館で働いているのを知り、話をしたくて来たのだろう。本を借りたかったわけではない。
(でも、誰に聞いたんだろう)
香奈の疑問を悟ったのか、柚葉が続ける。
「海里くんから聞いたの」
「……海里さんから?」
「ええ、海里くんから」
それじゃ、ふたりは連絡を取り合っているということだ。
(いったい、なにがどうなってるの?)
別れたはずのふたりの繋がりを示され困惑する。