極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 打ち明けようかどうか迷ったのか、柚葉は長い髪を片方の耳にかけ、数秒だけ間をおいてから言った。耳元でダイヤモンドのチェーンイヤリングが揺れる。

 やっぱりそうだった。海里は柚葉と結婚しようとしていた。


「お互いの気持ちはひとつだったんだけど……。私には父が決めた結婚相手がいて、海里くんのプロポーズにはどうしても頷けなかったの」
「そう、だったんですか……」


 だからふたりは別れたのだと、柚葉は顔を曇らせた。
 世界に認められた男と言ってもいいほどの海里でも敵わない相手とは、いったいどんな人なのだろう。全然想像がつかない。


「海里くんは駆け落ちしようって言ってくれたんだけど、私は両親に背くわけにはいかなくて……」


 柚葉は最後には唇を震わせ、バッグから取り出したハンカチで目元を押さえた。
 想像以上の告白が香奈から言葉を奪う。
 ふたりは、想い合いながら仕方なく別れを選んだのだ。

(それじゃ、海里さんは柚葉さんを忘れるために私と結婚するのかな……)
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