極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 その日、準備した本の福袋は、閉館時間を前にしてすべて利用者の手に渡った。


 「香奈ちゃんの企画、今回も大成功ね」
 「残り六日間あるので、明日以降もがんばります」


 企画は一週間通して開催予定のため、事務所の奥のスペースには本が入った袋がまだ何袋も用意されており、明日以降順次出す予定である。


 「全部、利用者さんに借りてもらえるといいわね」
 「はい。それじゃ、お先に失礼します」
 「お疲れ様」


 まだ残る職員たちに挨拶をして図書館の裏口から外へ出る。この頃すっかり日が伸び、午後六時でもまだかなり明るい。
 通りに面したエントランス側に向かうと、そこで思いがけない人物を見つけて足を止める。ガードレールに体をもたせかけ、腕と長い足を軽く組んだ姿に鼓動が弾んだ。海里だ。


 「お疲れ」


 手を上げ、香奈に挨拶を投げかける。


 「……どうしたんですか?」
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