極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
戸惑いながらゆっくり近づき、彼の前で立ち止まった。
「どうしたもこうしたも、香奈とデートしようと思って」
「突然そんな」
「連絡先がわからなかったんだ、仕方ないだろう」
海里はそう言いながら手のひらを上にして指先をひらひらとさせる。
(……え? 手を置けってこと?)
エスコートするつもりなのかと、どぎまぎしながらそーっと手を出したが――
「そうじゃなくてスマホ。連絡先登録するから。手ならあとでいくらでも繋ぐ」
大きな勘違いだった。
(恥ずかしい……!)
勘違いを誤魔化すために急いでバッグの中を漁り、スマートフォンを彼にそそくさと手渡す。
海里は素早く操作をして、香奈に戻した。
「電話とメッセージアプリ、両方とも登録したから」
「……ありがとう、ございます」