極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 黒いレザーシートに収まり、シートベルトを締める。


 「どこへ行くんですか?」
 「まずは腹ごしらえ」


 海里の言い方に思わず笑みが零れた。


 「なに、どうした」
 「世界中の誰もが羨む超セレブなのに〝腹ごしらえ〟って言うから」


 強張っていた気持ちがふっと緩む。たったひと言が警戒心をあっけなく解いた。


 「それじゃなんて言うのが正解?」
 「正解なんてないから気にしないでください」
 「笑ったのは誰だよ」
 「ごめんなさい。海里さんの言いたいように言っていいです」


 笑いながら返すと、海里は眉根を寄せて不満をあらわにした。


 「なんだそれ」
 「早く腹ごしらえに行きましょう」
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