極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
たしかに最初に声をかけられたときには探してもらえるかもしれないと期待したけれど、お互いに謝罪し合ったとはいえ、喧嘩のあとの微妙な空気だ。
(でも、どうしよう、頼ってもいいのかな。……お願いしちゃおうかな)
すぐに決断できず迷ったが、ひとりで探すよりふたりのほうが断然効率がいい。厚意に甘えるほうに一気に傾いた。
「いいんですか?」
「難癖をつけたお詫びだ。一緒に探そう」
「ありがとうございます!」
男性はそこで初めて香奈に笑顔を見せた。
早速ふたりがかりで捜索がはじまる。男性は砂浜から波打ち際に向かい、香奈はパームツリーの向こうに広がる芝生にまで足を延ばした。敷石をリズムよく踏んでいるときに落としたのかもしれない。
ブーゲンビリアの葉の下や木の根元に転がっていないか確認していたそのとき、早くも男性の声が遠くから響いた。
「おーい! これじゃないか?」
身を翻して彼のもとに急ぐ。男性は先ほど香奈が座っていたデッキチェアーのそばに立ち、指先でイヤリングを摘まんで揺らしていた。
遠目からでも、それが自分のもだとわかる。