極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 時刻は午後八時過ぎ。閉園時間を過ぎているのか、それとも休園なのかわからないが、駐車場には車が一台も止まっていない。


 「もう閉まってるみたいですけど」


 そうでなければ、この状況の説明がつかない。


 「いや。開いてるから心配いらない」


 わけがわからないまま車を降りる。海里にエスコートされて入園ゲートへ向かう途中、立て看板に気づいた。

 〝本日午後八時より貸し切り〟

 やはり今夜は無理みたいだ。


 「海里さん、貸し切りって書いてあります」


 足を止めたが、海里はそれでも構わずに香奈の背中を押す。まったく意に介していない。


 「ちょっと待って、海里さん、入れませんから」
 「大丈夫だ。行こう」


 それでも冷静さを崩さない彼を見て、まさか……と予感したそのとき。
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