極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「八雲様ですね。お待ちしておりました」


 入園ゲートにいた女性スタッフふたりが、声を弾ませて香奈たちを出迎えた。満面の笑みからも歓迎ムードを感じて及び腰になる。

 (やっぱり海里さんが貸し切りにしたんだ……)

 思いがけない状況に面食らい、香奈は棒立ちだ。


 「どうした、香奈」
 「だって貸し切りって……」


 目を瞬かせ、海里を見つめ返す。


 「前にテーマパークの貸し切りの話をしてただろう?」
 「え? ……あぁ、あのとき」


 パーティーで再会したときの会話だ。大富豪のイメージをあれこれ上げ連ねたうちのひとつがそうだった。

 (貸し切ってほしいって言ったつもりはなかったんだけど……)

 まさか海里がそれを実行に移すとは予想もしない。
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