極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「今夜、ここは俺と香奈だけ。ほら、行こう」
「は、はい」
オロオロしているうちに手を取られ、力強く引かれた。
海里と初めて手を繋いだ事実が戸惑いを吹き飛ばし、香奈の心を容易くさらう。大きく高鳴った胸は、そのままスピードを上げて鼓動を刻んだ。
ゲートを抜けると、ポップで楽しいBGMと色とりどりの光を纏った乗り物が香奈たちを迎える。ピエロが、おどけたポーズで真っ赤な風船を差し出してきた。
「ありがとうございます」
それを受け取り、海里に手を引かれる。
正真正銘の貸し切り。お客さんの姿は、香奈たち以外に本当にいない。
(スタッフ以外に誰もいない遊園地なんて初めて)
ジェットコースターも観覧車も、なにに乗るにも待ち時間はなく、香奈たちに合わせて動きはじめる。夢の中にいる気分だ。
「香奈は、子どもの頃どんな乗り物が好きだった?」
「私はメリーゴーランドかな」