極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 子どもの頃は絶叫系マシンが怖くて、ひたすらそればかり乗っていた記憶がある。対照的に深優は度胸があって、小さい頃からなんでも乗りたがった。


 「香奈らしいな」
 「そうですか? 海里さんは?」
 「ジェットコースター」
 「だと思いました」


 それも高速で何回転もするようなスリリングなものに違いない。


 「ちょうどいい、あれに乗ろう」


 海里は視線の先にあるメリーゴーランドを目指して足を速めた。

 隣り合った馬に横座りになり、ポールに掴まる。スタッフの合図で、軽快な音楽と一緒にゆっくり回りはじめた。
 誰もいない園内の景色が、光の帯となって流れていく。全身に風を感じて気持ちがいい。


 「香奈」


 名前を呼ばれて振り向くと、海里は唐突に夜空を指差した。

 (え? なに?)
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