極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
指の先を目で追ったそのとき、ヒューッと音を立てて火の玉が打ち上がる。次の瞬間、ビルの合間に大輪の花火が開いた。
「わぁ」
思わず歓声を上げる間にも、次々と打ち上がっては大きな音を夜空に響かせる。色とりどりの光が弾け、パラパラと散る様は圧巻だ。
メリーゴーランドの動きに合わせ、首を回して見入る。
(だけど、こんな時期に珍しい)
そう思った直後にピンときた。
「もしかして、海里さんが?」
振り返った瞬間、視界が彼でいっぱいになる。唇にやわらかな感触を覚え、ゆっくりひと呼吸おいて解放された。
めいっぱい目を見開き、海里を凝視する。衝撃が大きすぎて言葉がなにひとつ出てこない。情けなく口を半開きにして硬直する。
時間が止まったみたいだった。
「そう。花火は俺からのプレゼント」
「……び、びっくりさせないでください」