極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 指の先を目で追ったそのとき、ヒューッと音を立てて火の玉が打ち上がる。次の瞬間、ビルの合間に大輪の花火が開いた。


 「わぁ」


 思わず歓声を上げる間にも、次々と打ち上がっては大きな音を夜空に響かせる。色とりどりの光が弾け、パラパラと散る様は圧巻だ。
 メリーゴーランドの動きに合わせ、首を回して見入る。

 (だけど、こんな時期に珍しい)

 そう思った直後にピンときた。


 「もしかして、海里さんが?」


 振り返った瞬間、視界が彼でいっぱいになる。唇にやわらかな感触を覚え、ゆっくりひと呼吸おいて解放された。
 めいっぱい目を見開き、海里を凝視する。衝撃が大きすぎて言葉がなにひとつ出てこない。情けなく口を半開きにして硬直する。
 時間が止まったみたいだった。


 「そう。花火は俺からのプレゼント」
 「……び、びっくりさせないでください」
< 135 / 292 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop