極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「いかにも金にものを言わせたような演出」


 テーマパークの貸し切りや花火のほうだったらしい。
 初めて出会ったとき、セレブばかりが集まる場は苦手だと香奈が愚痴ったせいかもしれない。


 「そういうわけじゃなくて」


 大富豪は、遊びのレベルが桁違いだと気後れしたのは事実。でも海里が香奈を喜ばせようとしてくれた気持ちは、純粋にうれしかったし楽しい時間だった。


 「次回、挽回させてくれ」
 「え?」


 挽回もなにも、海里にはなんの汚点もない。


 「次こそ香奈を喜ばせると約束する。楽しみにしててくれ」


 海里がやけに自信ありげに微笑む。
 いったいなにをどうするつもりなのか。わからないまま、香奈は海里に部屋の前まで送り届けられた。


 「おやすみ」
 「……おやすみなさい」


 玄関のドアを閉めたあとも、香奈の唇にはキスの余韻が残っていた。
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