極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
翌日、出勤するなり、香奈は凪子に「ちょっとちょっと」と腕を掴まれた。そのまま誰もいない書架まで連れられ、向かい合う。
凪子はメガネの奥で瞳を輝かせていた。
「どうしたんですか?」
目をぱちぱちさせながら彼女に問いかける。
「昨日、図書館の外で待ってた人って、香奈ちゃんが高校生のときに一緒に勉強していた彼よね?」
香奈たちを見かけたようだ。
「そうですけど、よくわかりましたね」
もう九年近く前なのに。それも図書館から見ていたら遠目だろう。凪子のメガネはよっぽどいい性能らしい。
「もちろんよ。あんなイケメンはなかなかいないから」
凪子はメガネのブリッジを人差し指で上げた。