極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
結婚に繋がる言葉に動揺しながら、ふと海里が提げている大きな袋に目が留まる。
「それは?」
「今日はこっちが本命。香奈に手料理を振る舞おうと思ってね」
「手料理? 海里さん、料理するんですか?」
意外過ぎて想像できない。どちらかと言えば苦手なほうがしっくりくる。
「凝ったものは作らないが、まぁそれなりにね」
「もしかして、この前挽回するって言ってたのがそうですか?」
「名づけて〝香奈の胃袋を掴む大作戦〟だ」
「それって普通は女性が男性にする作戦ですよね」
思わず笑って返す。料理が苦手な香奈には不可能に近い戦略だ。
「手段に男も女も関係ないだろ。目的は同じだ」
「たしかに」
それはもっともだと香奈は大きく頷いた。
「じゃあ、キッチン借りるぞ」