極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 海里は持参したエプロンを着け、キッチンの小さなカウンターに買ってきたものを広げはじめた。

 トマト缶に生クリーム、エビやしめじなどの食材が次々と出た最後にスパゲッティが登場。パスタを作ってくれるみたいだ。

 香奈はもらった花束のラッピングを外し、フラワーベースに挿していく。ドレスのような花びらのききょうやガーベラがとても華やかだ。せっかくだから今朝ダイニングテーブルに飾ったばかりの花の隣に置いた。


 「なにか手伝いますか?」
 「これは俺のプレゼンだから、香奈は座って待っていてくれ」


 エビの処理をはじめた海里に声をかけたが、必要ないらしい。もっとも料理が苦手な香奈では足手まといになるだろう。
 大人しくダイニングチェアに腰をかけて待機し、料理する海里を眺める。鮮やかな真っ青のエプロンがこれほど似合う人がいるだろうか。好きな人というフィルターがかかっているのを差し引いても余りある。

 しばらくしてにんにくのいい香りが立ち込めてきた。まな板で野菜を刻むリズミカルな音もフライパンの返し方も手慣れたものだ。本当に普段から料理をしているらしい。

 (料理ができる男の人って素敵)
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