極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「海里さんらしい」
「だろう? で、どう? こんなに料理上手な男はなかなかいないぞ? 香奈、料理は苦手だろう?」
手を滑らせてフォークを落としそうになった。
「どうして知ってるんですか!?」
そんな話題は過去、持ち出していない。
「調理道具がほぼ新品だった。料理してない証拠だ」
鋭い指摘をされ、顔が真っ赤になる。情けないし恥ずかしい。
海里がにやりと笑う。
「旦那にするにはもってこいだと思わないか?」
「なんでもできる海里さんなら、無理に結婚しなくてもいい気がします」
嫌味ではなく、純粋にそう思った。
特定の女性に縛られる必要はないのではないか。海里なら、遊ぶ女性はいくらでもいるだろう。柚葉を忘れるためなら、結婚の形態をとらなくてもいい。