極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「俺は身の回りの世話をしてほしくて結婚するわけじゃない。なんやかんや笑ったり泣いたりしながら、一緒に人生を歩いていく相手が欲しいんだ」


 海里は真剣な目をして訴えた。

 (笑ったり泣いたりしながら、一緒に人生を……)

 彼に連れられていった遊園地での出来事が、ふと蘇る。

 香奈を喜ばせようと貸し切りにしたり、花火を打ち上げたり、海里の一生懸命さはひしひしと伝わってきた。なにより香奈は、海里と一緒にいると楽しくて仕方がない。
 そんな彼の隣を歩けたら、どれほど幸せか。たとえその心に住んでいるのが柚葉だとしても。彼女の代わりに一緒に歩いてくれる人が欲しいだけだとしても。
 好きな人と一緒にいられる未来が欲しいと素直に思った。

 深優にも凪子にも、自分の気持ちに正直になるのが一番だと背中を押されたのも大きいだろう。想いにふたをして見えないふりをするのは、もうおしまいにしたい。

 (海里さんがしてくれたように、私も全力で海里さんを振り向かせればいいのよ)

 そんな前向きな気持ちが大きく芽生えた。

 今は柚葉を好きでもいい。いつか自分を好きになってもらえるように努力しよう。
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