極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「海里だー! 久しぶりー。戻ってきたって聞いて、すっ飛んできたよ」


 秘書室で情報を耳にしたのだろう。ミナトは手にしていたノートパソコンをいったんソファに置き、長い足でずんずん大股で近づいてきたかと思えば、海里にがっちりと抱きついて鼻をクンクンさせる。


 「おい、よせ。長く留守番していたペットか」
 「ご主人様~。ワンワン!」


 海里に呆れられようとミナトはまるで頓着がない。今度はおふざけモードで、頭に両手を添えて犬の真似をした。

 度を越して人懐こい彼が、欧米人特有のスキンシップを利用してパーソナルスペースに無遠慮に踏み込んでくるのはいつものこと。今では海里も慣れたが、出会ったばかりの頃はずいぶん戸惑ったものだ。
 これでアミュゼのCOO?と首を傾げたくなるが、仕事では人格が変わったように切れ者になる。
 アミュゼが世界的に名の知れた企業に成長したのは、ミナトが右腕として働いてくれたおかげでもある。海里が決定した経営方針に沿い、日々の業務を最高のパフォーマンスで実行してきたのが彼だからだ。

 豊富な情報を取り揃えることでサイトの閲覧者を増やし、購買へと繋げていくコンテンツマーケティングを取り入れ、売上を飛躍的に伸ばしたのも彼の手腕による。
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