極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
どちらからともなく隣り合ったデッキチェアーに腰を下ろす。
「どこかの社長さんですか?」
「俺? いや、まだ大学生」
自分の胸を指差し、彼が頭を振る。
「そうでしたか。てっきり若くして起業した方かと思いました」
招待されている人たちの顔ぶれから勝手にそう思っただけだが、この人も香奈と同じく家族としてやってきたようだ。
「そんなに老けてる? これでもまだ大学四年、二十二歳なんだけど」
ショックを受けたのか、男性は眉間に皺を寄せて端正な顔立ちをしかめた。
「あ、いえ、違います。大人っぽい雰囲気だからそう思っただけなんです。ごめんなさい」
急いで謝る。落ち着き払った様子が、すごく年上に見えただけ。老けているのとは違う。目線や仕草に、色気交じりの優雅さを感じたせいもあるだろう。