極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
今まで出会った女性とは明らかに違う。光を帯びているわけでもないのに輝いて見えた。
彼女の夢を応援しながら、海里自身も大きく勇気づけられた。
この場限りの出会いという特別感のいたずらか、引き寄せられるようにして香奈にキスをしようとしたそのとき、柚葉が現れ、現実に強制的に連れ戻された。
連絡先も知らない彼女とはそれきり。もう二度と会わないだろうと思っていた。
再会は一カ月後。卒論の資料を探しに、たまたま足を運んだ図書館でのことだった。
それ以降、そこで一緒に勉強するのが暗黙の約束となる。なにか特別なことをするわけではない。ただふたりで静かな時を過ごすだけ。たまに香奈に勉強を教え、息抜きのために揃って休憩する。
会うのは図書館の中だけだったが、一度だけふたりでアイスクリームを買いにコンビニに出かけたことがあった。
『海里さん、じゃんけんのレースゲームをしませんか?』
『じゃんけんのレースゲーム?』
図書館のロビーを歩きながら、顔を覗き込んできた香奈に聞き返す。