極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
『パーで勝ったらパイナップルで六歩進めて、チョキだったら』
『チョコレートで七歩ってやつか』
『そう、それです。コンビニに先に到着したほうが勝ちで、負けたほうがアイスクリームを奢るんです』
『よし、乗った』
考えるまでもなく同意する。
『悪いが、俺じゃんけん強いからな』
『私だって。じゃあいきますよ? せーの』
香奈の掛け声に合わせ、揃って『じゃーんけーんぽん』と手を出した。
静かな図書館にいた反動か、童心に帰ってゲームに没頭する。道を行く人たちに好奇の眼差しを向けられようが気にならない。じゃんけんの勝敗ひとつで熱くなるのが新鮮だった。
『ね? 言ったでしょう? 私じゃんけん強いって』
あまりにもうれしそうに笑うから、勝敗などどうでもよくなる。むしろ香奈の笑顔を見られたから、かえってよかったと思ったくらいだった。