極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
香奈も同じ気持ちだと勝手に盛り上がっていた自分の滑稽さには笑うしかなかった。
『そうか、大事にしろよ』
真司を激励して肩を叩く手は震えていた。
アメリカに渡ってからは一心不乱に仕事に没頭する。そうすることで香奈への想いから逃げようとしていたのかもしれない。
しかし、はじまりも終わりもしない恋は厄介なもので、時間の経過に関係なく海里の心をがっちり捕らえて離さなかった。
およそ一カ月前、香奈と二度目の再会を果たしたとき、海里は柄にもなく運命を感じずにはいられなかった。初めて出会ったリゾートで、あの夜と同じようにビーチで再会したのだから無理もない。
可憐な少女から大人の女性に変貌を遂げていた香奈は、あの頃のようにキラキラ輝いて見えた。
内面から滲み出る品の良さとは裏腹に、パンプスを脱いで裸足で砂浜を歩く遊び心も持ち合わせていた。
その彼女の父親が、結婚相手を探していると知る。
今まですれ違っていたのは、このときのためだったのかもしれない。ふたりの運命がようやく重なるときがきたのだと、目の前が開けたような感覚だった。もうあの頃のように迷いも躊躇いもない。
それからの海里の行動は早かった。
確実に手に入れるために香奈とのお見合いを申し入れると、トントン拍子に話は進んだ。