極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 友人たちにも『柚葉ちゃん、お前のこと絶対好きだよな』と何度か言われたことがある。『美人だし、性格も悪くないし、付き合っちゃえば?』とからかわれたこともある。

 だが海里にとって柚葉は妹のようなもの。恋愛感情を抱く相手ではないため、それとなく一線を引き、期待を持たせないように接してきた。
 それを敏感に感じとるのか、柚葉もその線を強引に越えてはこない。よき友人、幼馴染としての付き合いを続けていられるのもそのためだ。


 「それで……結婚は? ……するの?」


 探るように覗き込んできた彼女の目を正面から捕らえた。


 「彼女から結婚の了承はもらってる」
 「えっ……」


 柚葉は顔を曇らせ、言葉を詰まらせる。しばらくなにかを考えるように窓の外を見ながら続けた。


 「それじゃ、忘れるためなのかな……」


 柚葉は意味深にぽつりと漏らし、ハッとして口元を手で押さえる。故意か過失か、見極めは難しい。
< 169 / 292 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop