極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 眉根を寄せたため、そう見えたのだろう。探りを入れるように顔を覗き込んできた柚葉に、海里は首を横に振る。


 「いや、これで問題点がはっきりした」
 「……え?」


 柚葉は目を点にした。


 「それさえ掴めば、あとは丁寧に潰していけばいい」


 あれこれ予測を立てて悩みながら進むより、ずっと近道だ。

 その男が岩井真司であってもなくても。この結婚がたとえ、そいつを忘れるためのものであっても、香奈は海里との結婚を決意してくれたのだから。海里となら結婚してもいいと思う程度には、好意があると考えていいだろう。となれば、心の中からその男を追い出せばいい。

 少々強引な考え方なのはわかっている。自分の都合のいいように考えている自覚もある。
 しかし一度は諦めた香奈と結婚できるのだから、そのくらいは試練のうちにも障害のうちにも入らない。


 「有益な情報を助かる。サンキュ」
 「え、あ、うん……」
 「じゃ、俺は仕事があるから」
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