極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
彼が柚葉を好きなのは承知のうえであり、海里が結婚を取りやめたいと言わない限り、この想いは大事にしたいと考えていた。
あれから二日経過したおかげで、気持ちは回復傾向にあった。
閉館時間まで残りわずかとなり、香奈は会場の本の整備をはじめた。
「この本は借りられるんですか?」
「もちろんです。カウンターの脇に全種類並んでいますので、気になるものがあったらぜひどうぞ」
仕事帰りらしきビジネスマンや学生に声を掛けられるたびに、カウンターのほうを手で指す。そうして朝の状態に少しずつ戻していると、不意に肩をトンとされた。
「はい、なん――」
振り返りながら応じた香奈は、目を真ん丸にする。
「どうしたんですか!?」
場所を忘れて大きな声が出てしまった。でもそれも無理はない。海里だったのだ。