極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 「八雲さんのお父様もどこかの社長さんですか?」
 「あんまり言いたくないけど、言わないのはフェアじゃないだろう。Le() Mona(モナ)っていうファッションブランドの会社を持ってる」
 「ル・モナ! 知ってます。いつか身に着けたい憧れのブランドなんです」


 つい声のトーンが上がる。大人の女性をターゲットにしたハイブランドは、全女性の羨望の的と言ってもいい。アンバサダーの女優も憧れの女性だ。
 まさか、その息子と知り合えるとは思ってもみなかった。父についてきてよかったと浮かれるなんてゲンキンだ。憂鬱なだけのパーティーだったのに途端に気分が華やぐ。


 「あ、父におねだりするわけじゃないですからね? いつか、ちゃんと自分で稼いだお金で買うつもりです」
 「さっきの、相当根に持ってる?」
 「それは内緒です」
 「内緒か、参ったな」


 思わず笑うと、海里は困ったように笑った。


 「八雲さんはル・モナを継ぐんですか?」
 「今、隙あらば新作を手にできるとか考えただろう。目が光った」
 「光ってませんっ。同じような立場の人に対する純粋な興味です。……でも、ちょっと融通はしてもらえるかも?とは思ったりして」
 「ほらみろ」
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