極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 海里のプライベートジェットでおよそ五時間。香奈は彼に連れられて香港へやってきた。
 ビクトリアハーバーを臨む彼の豪邸に招かれ、香奈は先ほどから大きな窓に貼りつきっぱなしである。


 「素敵……」


 目の前に広がる煌びやかな夜景を見て、漏れるのはため息ばかり。色とりどりの星屑が散ったような光景は、まさに百万ドルの夜景と呼ぶにふさわしい。
 香港の夜景をひとり占めしているような感覚が心を躍らせる。カレンダーの日付はとっくに変わっているが、あまりにもダイナミックな景色に眠気は吹き飛んだ。

 (『着替えのほかにパスポートを忘れるな』って言うから、どこに連れていかれるのかと思ったら……。本当に綺麗)

 まるでミステリーツアー。目的地を教えてもらえず、香奈は空港に到着して初めて、ここが香港だと知ったのだ。


 「香奈はこういうのは嫌がるだろうけど、さっきの写真展を見ていたら、この夜景を無性に見せたくなった。明日の夜には送り届けるから許せ」


 海里は、窓辺に立つ香奈の肩にポンと手を置いた。
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